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不妊の原因
WHO(世界保健機構)が男女別不妊原因を調子したところ、男性のみ24%、女性のみ41%、男女共24%、原因不明11%だったそうです。
最近は、男性不妊の増加傾向にあり男性側に原因があるカップルが48%と約半数を占めています。
かつては不妊というと女性側の問題とされがちでしたが、今では男女ともに半々といわれています。
子宮内膜症
本来、子宮の内側だけにある子宮内膜が、なんらかの原因で子宮の内側以外の部分である筋層、卵巣、卵管、直腸、腹腔内に飛び火をして、増殖や剥離、出血を繰り返すのが「子宮内膜症」です。
内膜症は、排卵や着床を妨げたりする事があります。
◆チョコレート嚢腫
子宮内膜症の一病態。卵巣内で子宮内膜組織が増殖して、チョコレート色の液状物がたまっている状態。
嚢腫摘出術、アルコール固定、薬物療法などの治療法がある。
◆子宮腺筋症
子宮筋層(子宮内)に出来る子宮内膜症。
排卵障害
卵がうまく育たない、または育っても排卵しないのが「排卵障害」です。
◆中枢性の排卵障害
視床下部や脳下垂体からのホルモン分泌不全によって起きる排卵障害。
◆卵巣機能不全
脳下垂体から性腺刺激ホルモン(FSHとLH)の刺激を受けても卵胞の発育などの卵巣機能が正常に働かない状態。
◆多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵胞がある程度の大きさにまで育つのに卵胞が育ちにくく卵巣の皮が固いために外に飛び出せない症状。
◆卵巣嚢腫
卵巣の中に袋状の腫瘍が出来て大きくなる病気。
◆黄体未破裂卵胞(LUF)
卵胞が成熟するのに排卵が起こらず、普通は排卵後にからっぽになった卵胞が黄体へと変化するのに、排卵が起きないまま黄体化してしまう状態。
◆高プロラクチン血症
妊娠していないのに、血中の乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が異常に高い状態。
プロラクチンには排卵を抑えてしまう働きがあります。
原因は薬剤性、下垂体シュヨウ、特発性(原因不明)の3つがある。
また、ホルモン負荷試験のTRHテストで発見される潜在性高プロラクチン血症もある。
◆早発卵巣機能不全(早期閉経)
40才以前に閉経になること。
卵巣に全く卵胞が認められないPDFと、卵胞が存在しているのに性腺刺激ホルモン(ゴナドトロビン)に反応しないGROSがある。
卵管障害
卵管を切除してしまった、あるいは細かったり詰まったりしているために卵子が精子に出会えないのを「卵管障害」といいます。
◆卵管切除
子宮外妊娠などにより卵管を切除してしまった。
◆卵管癒着
卵管が癒着を起こしている状態。
◆卵管狭窄
卵管が狭いこと。
◆卵管閉塞
卵管が閉鎖している状態。
◆ピックアップ障害
きちんと排卵されているのに、卵管采という卵をキャッチする卵管の先が癒着を起こしていたりしてうまく卵をとりこめない状態。
頚管因子障害
子宮頚管に問題があったり、排卵期に分泌される粘液に問題があり精子が子宮の中へと進入できないのが「子宮頚管障害」です。
◆頚管粘液不全
排卵期になると子宮頚管からねばりけのある粘液が増え、精子を通過させやすくする働きがあるが、この粘液の量が少ない状態。
◆粘液の性質
排卵期に粘液はアルカリ性となるのに性状が変わらずに精子が適合できない。
◆抗精子抗体
精子を抗原とする免疫反応。精子の凝集や不動化を引き起こして受精を妨げる。
男性にも女性にもつくられることがあり、不妊の原因となる。
◆頚管狭窄
子宮頚管が狭窄で粘液がたまらない。
着床障害
子宮内に問題があり着床が出来ない場合を「着床障害」といいます。
◆子宮筋腫
子宮の筋腫組織から発生する良性の腫瘍。30才を過ぎると3.4人に1人はあるといわれる。
子宮筋腫のある人が全て不妊の原因になるとはならないが大きさや場所などにより着床を妨げることがある。
◆子宮奇形
先天的な子宮の形の問題。
流早産の頻度が高くなるといわれているが軽度のものはそのまま妊娠・出産も可能であり、重度の場合は手術により治す場合もある。
主なものに双角子宮など。
◆黄体機能不全
子宮内膜の着床のための準備が十分に整わない状態。
黄体ホルモンの分泌不全や排卵障害、子宮内膜の感受性異常などさまざまな原因で起こる。
◆子宮内膜ポリープ
子宮にポリープが出来ていて表面がでこぼこの状態のために着床できない場合がある。
男性不妊
男性側の精子にトラブルがあるのが「男性不妊」です。
◆精索静脈瘤
精巣から出ている静脈に血液がとどこおり、こぶ状に膨らんでしまう症状。
◆逆行性射精
精液が膀胱に射精されてしまう症状。
◆精液減少症
1回の射精で出る精液が0.5cc以下の場合(普通は3〜6cc)。
◆乏精子症(精子減少症)
精子の数が少ない症状。
WHOの定義では、精子数が1ccあたり2000万以下の場合
◆精子無力症
精子の動きが悪い症状。
WHOによると、運動率50%以上が正常とされる。
◆精子奇形症
奇形の精子が多い症状。
WHOによると50%未満が正常。
◆無精子症
精液中に精子が存在しない症状。
精子が造られていない場合と射精されるまでの過程で輸送されていない場合がある。
精液中に精子が0でも精巣上体、精巣に存在すれば体外受精を行うことが出来ます。
・精巣上体精子採取法(MESA)
精液中の精子数は0でも精巣上体に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能(多く採取できれば体外受精も可能)。
・精巣精子採取法(TESE)
精子中の精子数は0でも精巣に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能。
◆精子膿症
感染を起こしている。
◆性交障害(ED;勃起不全)
十分な勃起を得られずきちんと性交が出来ない状態。
心因性な場合と機能的な場合があります。
男性不妊の約10%がEDであるといわれます。
受精障害
精子または卵子の問題により受精に障害があることがあります。
人工授精までの一般不妊治療では、受精障害が無いと仮定しての治療となり、体外受精をしてみて初めて、受精障害の有無が分かります。
受精障害がある場合は、顕微授精をおこないます。
機能性不妊
不妊の原因が不明、もしくは今の段階では原因が分からない状態を「機能性不妊」、または「原因不明不妊」といいます。
不妊治療を行うカップルの約10%がこの機能性不妊であるといわれます。
不育症
子供が欲しいと思いながらも流産や早産、死産を繰り返して生児を得られない場合を不育症といいます。
流産が2回続いた場合を「反復流産」といい、3回以上の場合を「習慣性流産」といいます(子宮外妊娠や胞状奇胎はこの回数に含めないとされています)。
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